噴火災害復旧
噴火災害からの復旧・復興
【山林・林業関係】
平成12年に発生した三宅島噴火では、世界でも類例のない大量で継続的な火山ガスの放出の影響により、島の森林面積の6割にあたる約2,500haが被害を受けました。なかでも島の中腹から山頂にかけては火山ガスの影響が強く、森林に壊滅的な被害を与えて立枯れた樹木があたり一面に広がりました。
また、降り積もった火山灰は地表面に堆積し、雨水の浸透を妨げて多くの泥流被害を引き起こしました。
このため、林務担当では、噴火災害における復旧事業を下記のとおり実施しています。
治山事業
治山ダムや山腹工などの治山構造物を施工することで、土砂流出の抑止や、崩壊の拡大防止を図っています。火山ガスの影響で裸地化した区域では、緑化試験の結果を踏まえ、森林の復旧を目指しています。
林道事業
泥流などの被害を受けた雄山環状林道他9路線について、順次復旧工事を実施しています。
造林地被害対策事業
火山ガスの影響により立ち枯れたスギ等の枯損木は、倒壊により土砂災害や施設の損壊等を引き起こす恐れがあります。このため、被害が発生する恐れのある区域において、枯損木の伐倒整理を行ない、二次災害の防止を図っています。
噴火災害からの復旧・復興
【農業関係】
農地の復旧
噴火に伴う降灰や泥流、さらに4年半に及ぶ避難生活で三宅島の農地や農業施設は壊滅的な状況となりました。災害復旧事業(国庫補助)を導入し、雑木・雑草・降灰・泥流等の除去、また石灰や堆肥などの投入による土壌改良工事を行い、約89haの農地が復旧しました。現在は、約100haの農地で農産物の生産が行われています。
農業用水施設の復旧
笠地貯水池は、阿古地区の農業用水確保のため整備された農業用貯水池です。平成12年から始まった噴火災害により、貯水池の約半分が泥流に埋没し使用不可能となりました。平成22年度に災害復旧事業(国庫)で貯水池の復旧工事を行い、23年度以降は送水管の整備を実施しています。
営農再開に向けた支援
東京都は、農地復旧後の速やかな営農再開に向け、三宅村が実施する赤芽イモやレザーファン、アシタバ等の特産種苗確保の支援を行ってきました。現在は、復旧された農地で、三宅の特産品として生産が再開されています。
また、東京都の営農再開支援事業により、噴火時に破壊されたパイプハウスや簡易水槽等の整備を行いました。最近では、この施設を活用し、火山ガスに強い新しい特産品としてキキョウランやドラセナなどの切葉やパッションフルーツの生産が盛んになっています 。