資料の解読と読み下し例~東京府の開庁準備

出典:東京府文書『東京府御開書留』明治元年(1868)(請求番号:605.A4.01)

【資料】

東京府の開庁準備

解読文


 仁杦八右衛門様          中田郷左衛門
 藤田六郎右衛門様         秋山 久蔵
                  下村 弥助

東京府御座敷向燭䑓無之候而者
差支候間唐銅朝皃覆付候燭䑓十本
手燭者木ニ而数十買入可申旨被仰渡
候間早々御申付御座候様致し度存候
此段得御意候以上
    八月十八日

読み下し例


 仁杉八右衛門様          中田郷左衛門
 藤田六郎右衛門様         秋山 久蔵
                  下村 弥助
東京府御座敷(ざしき)向き燭台(しょくだい)これ無く候ては、
差(さ)し支(つか)え候間、唐銅(からかね)朝顔覆(おお)い付き候燭台(しょくだい)十本、
手燭(てしょく)は木にて数十買い入れ申すべき旨、仰せ渡され
候間、早々御申し付け御座候様致し度存じ候、
此段、御意(ぎょい)を得候、以上、
    八月十八日


用語説明

  • 唐銅(からかね):青銅。銅または錫を主体とし、鉛、鉄、ニッケルなどを加えた合金のこと。
  • 朝顔覆い(あさがおおおい):蝋燭の火が消えないよう朝顔形(漏斗の形のように)の覆い。
  • 燭台(しょくだい):蝋燭を立てる台。
  • 手燭(てしょく):蝋燭を持ち運べるよう燭台に柄をつけたもの。
  • 御意(ぎょい):命令、指示。

くずし字を読むためのポイント

『所蔵資料(アーカイブズ)を読む』で取り上げている資料のうち江戸時代から明治時代前半のものは、草書体で書かれています。一般的に「くずし字」と呼ばれるものです。草書体は毛筆でサラサラと早く書くことを目的としているので、様々な部分を省略して書きます。また、「御家流」と呼ばれる江戸時代の公文書に用いられた読みやすい書体で書かれています。筆で書いているので、字の書き順が現在の使い方と異なる場合があります。

「くずし字」を読み解くには、幾つかのポイントがあります。今回は、漢字の部首を構成する「ヘン」や「たれ」のくずし方と特徴のある字を見てみましょう。


「へん」「たれ」のくずし方

「木」へんのくずし方画像 「ぎょうにん」べんのくずし方画像 「ま」たれのくずし方画像 「金」へんのくずし方画像

「ヘン」や「たれ」のくずし方と書き順を覚えておくと、他の文書を読んでいて同じようなくずし方が出てきた時に、その漢字を推測することができるようになります。


くずし方に特徴がある字

また、この他にも、くずし方そのものに特徴がある字を覚えておくと便利です。

「いたる」のくずし方画像

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