資料の解読と読み下し例~江戸の町触を読む~御用の鰻を確保せよ

出典:『撰要永久録 御触事 巻之四十九』(請求番号:高野―063)

【資料】

江戸の町触を読む~御用の鰻を確保せよ 解読

解読文



此度問屋仲間組合御差止被仰出候ニ付鱣(鰻)荷物市中蒲焼屋共
直買致候事ニ有之御用鱣土用中者多分之御入用高ニ付万一
御差支相成候而者不相済候間当分仮御仕法を以市中鱣屋共方
有荷物之内御肴役者江直御取入相成候筈ニ付追而御主法相立候迄ハ
右之通り可相心得旨鱣屋渡世之もの共江町々名主支配限り早々
可申通候
右之通被仰渡奉畏候為後日仍如件
                   深川熊井町
  天保十三寅年六月十四日       名主 理左衛門
                   赤坂裏伝馬町
                    同  五郎左衛門


読み下し例



 このたび問屋仲間組合御差し止め仰せ出され候につき、鰻荷物市中蒲焼屋共
 直買い致し候事にこれ有り、御用鰻土用中は多分の御入用高につき、万一
 御差し支え相成り候ては相済まず候間、当分仮御仕法をもって、市中鰻屋共方
 有り荷物のうち御肴役者え直に御取り入れ相成り候筈につき、追って御主法相立ち候までは
 右の通り相心得べき旨、鰻屋渡世のもの共え、町々名主支配限り早々
  申し通すべく候
 右の通り仰せ渡され畏み奉り候、後日のため、仍てくだんの如し
                   深川熊井町
  天保十三寅年六月十四日       名主 理左衛門
                   赤坂裏伝馬町
                    同  五郎左衛門

現代語訳

このたび問屋仲間組合を停止すること(株仲間停止令)が幕府より仰せ渡されたので、鰻を市中の蒲焼屋どもが直接鰻屋より買い入れている。御用で使う鰻は土用の期間は多分の入用高となり、万一差し支えては済まされない。そのため、当分の間は仮の仕法(規則)を立てて、市中の鰻屋どもが所持している鰻のうちより御肴役者(所)へ直接納めることになっているはずなので、追って正式な仕法ができるまでは、右の通りに心得るよう、鰻屋渡世の者どもへ、町々名主の管轄ごとに早々に通達しなさい。
右の通り仰せ渡され、謹んでお受けします。後日のため、よってくだんのごとし
                           深川熊井町
 天保十三寅年(1842)六月十四日       名主 理左衛門
                           赤坂裏伝馬町
                            同  五郎左衛門

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