史料の解読と読み下し例~何の品物リスト?
出典:『総御達簿〈第三大区三、四小区〉』(明治7年)(請求番号606.B6.09)
解読文
差入品一度分定則
一 たゝみいわし 五拾枚
一 干魚類 同
一 鮭 十切
一 鰹魚節 三本以内
右之内壱品
一 煮豆 八寸重一重
一 青物類 小籠 壱籠
一 沢庵漬 廿本
一 梅干 壱舛
右之内一品
一 ひしを 壱舛
一 正油 弐舛
一 塩 壱舛
右之内一品
一 まくろ 二十切
一 このしろ 百本
一 いわし 同
一 いな 五拾本
一 牛肉 壱斤
右之内一品
一 半紙 三状
一 手拭 一筋
一 下帯 壱筋
右之内一品
一 ケツトウ 壱枚
右年々二度
右之通り
語句解説
- 畳鰯(たたみいわし)
カタクチイワシの稚魚を生のまま、海苔をすくようにして葭簀(よしず)の上に並べて天日で乾し、一枚の網状にした食品。(『日本国語大辞典』)
- 醤・醢(ひしお)
(醤)なめ味噌の一種。大豆に小麦でつくった麹と食塩水を加えて醸造したもの。そのまま調味料として用いたり、ナス、ウリなどを漬けこんだりして食べる。また、その漬物。(『日本国語大辞典』)
- 鯔(いな)
硬骨魚綱ボラ目ボラ科に属する魚。古名はクチメ(口魚)、ナヨシ(名吉)。マボラ、カラスミボラともいう。出世魚の代表の一つで、海から川へ入りだした三センチメートル余りの幼魚をハク、川や池で生活する一〇センチメートル前後をオボコ、スバシリ、生後一年を経過した二五センチメートル余りの未成魚をイナ、二〜四年魚の三〇〜五〇センチメートルの成魚をボラ、五年以上の老成魚をトドという。(『日本大百科全書』)
- ケツトウ
毛布。明治八年(一八七五)一一月二〇日に差入品定則が改訂されたが、その品目一覧に「毛布 ケットー」と記されている。恐らく「ブランケット」の意と推察される。そのため、本史料の「ケツトウ」も毛布を指すものと判断できる。
読み下し例
一度に差し入れできる品の規則
一 畳鰯 五十枚
一 干魚類 同
一 鮭 十切
一 鰹魚節 三本以内
右の内より一品
一 煮豆 八寸重一重
一 青物類 小籠 一籠
一 沢庵漬 二十本
一 梅干 一舛
右の内より一品
一 醤(醢) 一舛
一 正油 二舛
一 塩 一舛
右の内より一品
一 鮪 二十切
一 鰶 百本
一 鰯 同
一 鯔 五十本
一 牛肉 壱斤
右の内より一品
一 半紙 三状(帖)
一 手拭 一筋
一 下帯 壱筋
右の内より一品
一 毛布 壱枚
右は年に二度
右の通り