第2回 江戸各郷村図を読む

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 当館が所蔵する「江戸明治期史料」約8000点のなかには、文書だけでなく地図類も多く含まれています。例えば、情報検索システムのフリーワードに、「江戸図」と入力して検索すると、620件の地図が抽出できます。これらの絵図類は大型のものが多く、実物を開いて見るとその迫力に圧倒されるほど見応えがありますが、実際は一つ見るだけでも非常に大変です。また、展示などでもケースのガラス越しではなかなか細部まで見ることができず、歯がゆい思いをした経験がある方も少なくないでしょう。当館のデジタルアーカイブでは、こうした手間や煩わしさにとらわれず、自由に思いのまま地図の世界を堪能することができます。

編脩地志備用典籍の朱印 画像

 さて、地図群「江戸各郷村図」31点は、「乾」と「坤」の二種類の帙に分けられています。特徴としては、「乾」の方は豊島郡内の図面が多くを占めており、「坤」にはそれ以外のものが多いという傾向がみられますが、その他に詳細な特徴はまだ分かっておりません*1。 また、図面の多くには、「編脩地志備用典籍(へんしゅうちしびようてんせき)」という朱印がみられますが、これは、文化・文政年間(1804— 29)に徳川幕府の昌平坂学問所で地誌編纂事業を行った際に、参考用として収集した地誌や絵図類に捺されたものと考えられています。

 したがって、成立年代や作成された目的なども異なりますが、描かれている田畑・屋敷・河川・山林・寺社の位置情報などからは、現在失われてしまった江戸時代当時の姿を見ることができます。

 今回解読する地図は、「江戸各郷村図」の内「玉川辺図」です。この資料名やラベルは写真にあるとおり、絵図が作成された後、整理が行われる過程で帙の表面に施されたものです。

 この資料名だけでは図面の中にどのような情報が書かれているのかがわかりません。そこで、書かれている情報を一つ一つ丹念に読み取っていくことが、今回の趣旨になります。

 それでは早速資料を読んでみましょう。

『玉川辺図』の表紙画像

*1 『豊島区地域地図』第7集 近世(村絵図2)編(豊島区立郷土資料館、2009年)

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目次

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【資料】

玉川辺図(帙書 江戸各郷村図 乾)(請求番号654−02−03−10(ZB−052)

六所宮(現大國魂神社)付近拡大図

記事ID:003-001-20240718-002142