


種に注目!
林木育種センターという研究機関のジーンバンク事業に協力して種子の採取を行っています。都レンジャーは日々自然の中で活動しているため、島内のどこにどんな植物が分布していて、花や結実の時期がいつ頃なのかを把握してきています。しかし、各植物のベストな時期に種子を採取することはとても難しいのです。
島内の至る所に生育し、初夏に白くて大きな花で山を彩る島の花「ムニンヒメツバキ」。あんなにたくさん花が咲くのだから実を取るのは簡単だろうと思っていましたが、花の印象ほどは実が見つかりません。手が届く位置に結実している株はわずか。さらに、完熟すると裂開してなかの種が落ちてしまうので、実の上部が少しだけ割れ始めたタイミングで採取しなければ、数日後には種はすべて落ちてしまいます。時間との勝負です!
「タコヅル」という植物は林内にたくさんあるのですが、いざ花や実を探してみると全然見つかりません。何とか花を見つけることができたので、その位置を覚えておいて実の時期に確認。結実はしているけど、まだ未熟。2週間後に見てもまだ未熟。さらに2週間後、ついに完熟!!思ったら、実の半分以上が食べられてしまっていました。こちらは動物たちとの勝負です!林木育種センターという研究機関のジーンバンク事業に協力して種子の採取を行っています。都レンジャーは日々自然の中で活動しているため、島内のどこにどんな植物が分布していて、花や結実の時期を把握してきています。しかし、各植物のベストな時期に種子を採取することはとても難しいのです。
結実してから完熟するまでの期間が短い樹種もあれば、半年以上も青い実をつけたまま完熟するまで時間がかかる樹種もあるのです。一年中たくさんの樹種について花や実のなり具合を気にする必要があります。
年間を通して温暖で気温の変化が小さい小笠原では植物も季節変化もはっきりせず、花の時期も実の時期もダラダラと続きます。なんとなく花も実も見てはいるけれど、花が咲いてから実が完熟するまでの期間についてはあまり把握できていなかったことに気づきました。
また、父島から約500m北に位置する兄島では、同じ植物でも父島とは結実量が大きく異なることにも気づきました。「シャリンバイ」や「ムニンネズミモチ」は兄島では腰丈ほどの小さい株にもたわわに実っているのですが、父島ではぽつぽつとわずかに実をつけている株がほとんどで、1株にたくさん結実しているのはほんの数株でした。その原因についてあれこれ考えています。
1年を通して種に注目してみることでさらに疑問が湧くことも多くあり、小笠原の植物の生態について改めて調べ、とても勉強になりました。ますます自然の面白さを実感しています。