東京都の取組 - 植生の復元- 聟島列島の植生回復
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聟島列島の自然
聟島列島は父島から約50㎞北に位置し、聟島、媒島、嫁島などのいくつかの小さな無人島からなります。世界自然遺産認定のシンボルである陸産貝類が生息するほか、植物や昆虫においても聟島列島固有亜種が存在するなど、貴重な自然が残されています。聟島列島は小笠原諸島の中でも特に海鳥類の飛来数が多く、繁殖期には島中で海鳥類の営巣風景が見られます。
(聟島列島固有種)
(聟島列島固有種)
外来生物による生態系被害
聟島列島は、かつては森林に覆われていたと考えられています。しかし、過去に食用として人によって持ち込まれ野生化したヤギ(ノヤギ)や、非意図的に侵入したクマネズミにより、植生破壊が進み、一部では激しい土壌浸食が生じ、陸域のみならず海域の生態系にも大きな影響が及びました。こうした被害を食い止めるため、東京都は平成6年度から聟島列島の植生回復事業を開始しました。現在では聟島列島のノヤギは排除が完了しており、クマネズミは殺鼠剤による駆除作業を実施した結果、低密度化することに成功しています。
媒島の植生復元
植生破壊の主な原因であったノヤギとクマネズミを排除できたことは、聟島列島の植生回復に向けた大きな成果です。これからは自然推移に植生回復が進むことが期待されるところです。しかし、植生回復に向けて依然として課題が残っています。聟島列島の中でも特に植生破壊の激しかった媒島では、現在でも裸地が広く残り、土壌浸食が継続しています。土壌浸食の激しい場所では植物の定着が難しく、土壌流出が続く一方です。そこで、平成16年度に媒島の植生復元計画を策定し、媒島の土壌流出を抑制するための取組を行っています。
記事ID:003-001-20240718-008312