都レンジャーニュース

都レンジャーニュース 令和2年度

2021年3月25日(父島レンジャー 熊本)

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  • 南崎外来植物メンテナンス駆除 ~林野庁・環境省・東京都の協働作業~

    父島の南西に位置するジニービーチは真っ白な砂浜とハッとするほどの蒼い海、ラピエと呼ばれる石灰岩の斜面が特徴の人気の海岸です。南島と同じ石灰岩でできている斜面に外来植物のモクマオウが多数繁茂し、このままモクマオウが成長するとジニービーチの景観が損なわれるため、2019年1月23日林野庁・環境省・東京都の協働でモクマオウ駆除を実施しました。
    しかし、モクマオウは小笠原においては繁殖力がとても強く、周辺にもたくさん繁茂していることもあり、定期的なメンテナンス駆除が必要となります。今回2年ぶりに3機関が集まり協働で作業を実施しました。今回の作業でモクマオウの稚樹は10本以下と少なかったのですが、驚いたのが「タバコ」の実生が1000株以上見つかったことです。「タバコ」はとても成長が早く2m程にも成長する多年草のため花がつく前の実生で見つかったことはラッキーでした。10人全員で約2時間かけて目に付く実生の抜き取りを行いました。
    小笠原諸島では外来植物の駆除は1回で終わることはまずありません。海洋島において繁殖力の強い外来植物の駆除はその後のメンテナンス駆除がとても大切だということを改めて認識しました。
    ジニービーチの素晴らしい景観がこの先も残せるように、これからもメンテナンス駆除を行っていきます。



2021年3月22日(母島レンジャー 向)

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  • 希少植物

    小笠原では、固有動植物が数多く生息していますが、個体数が減少してしまい絶滅の危機にさらされている種も残念ながらいます。
    そのような希少動植物は、環境省によって「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」に基づき
    「国内希少野生動植物種」に指定され、そのうちのいくつかの種については「保護増殖事業計画」が策定されています。
    こういった守らなければいけない種においては、都レンジャーも調査に協力し、属島の巡視の際に調査した情報を環境省へ情報提供をしています。
    小笠原は父島、母島合わせても2500人程度の人口の少ない島ですので、こういった調査データなども関係団体で共有することで、
    より正確な情報の蓄積を目指しています。
    写真1.シマツレサギソウ【EN】 ラン科 Platanthera boninensis
    写真2.シマカコソウ【EN】 シソ科 Ajuga boninsimae

2021年3月5日(父島レンジャー 石井)

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  • 歩道整備

    私たち都レンジャーは作業時間や効率を考慮し、冬季に園地や歩道の整備を行っております。
    私たちが整備を行う際に使用する手法として、「近自然工法」があります。
    この手法は、雨水の流れにより石が集積した結果その部分が踏面となる、木の根に土砂が堆積した結果堆積部分が道になる、などといった自然界に起きる事象を補修箇所に再現する方法です。
    今回、私たちは中央山園地を2日間かけて整備しました。中央山園地では秋の長雨により排水が行われず水溜りができ、雨後はその中を歩かなければならない箇所が出ておりました。
    また長年の利用により階段の浸食が進み、歩きづらい箇所が出ておりました。
    まずは園地内で利用可能な木材や石を集めることから始めます。頭の中に描いた完成予想図と照らし合わせ、施工に必要な長さ・大きさや形状、質感などが合致した木材や石を収集していきます。
    次にこれらを設置していくのですが、自然に溶け込んでいること、利用者視点の歩道や階段を整備することの2点を念頭において施工していきます。
    この2点を両立することは本当に難しいことを実感します。自然界には同じ形、同じ材質の石や材は存在せず、均一ではないこれらをより自然に近い形で組み合わせていかなければなりません。
    また利用者の行動を予測し、次にどの位置に足を置きたくなるかを考え、安心して足を乗せられるくらい踏面が広くなるよう石や木材を組み上げていきます。
    こうして設置した歩道や階段を、利用者が人の手で施工したものと意識せずに使ってくださることは私たちの整備が上手くいったということであり、何気なく使っている様子を見ると作業時の苦労も一気に吹き飛びます。
    写真では整備直後のため、まだ人の手を施した感じは否めませんが、年数が経過すると周辺環境が復元し、整備箇所と周りの自然が同化していくのを見ることができます。そうなると整備箇所は崩れにくくなります。
    みなさんにはそのような変化を園地歩道に訪れた際には観察していただけると嬉しいです。

2021年2月1日(父島レンジャー 井上)

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  • オガサワラグワモニタリング調査

    オガサワラグワは、小笠原諸島だけに分布する固有植物で、その木目の美しさや丈夫さから、昔から島民に親しまれてきた植物です。
    しかし、明治期までに多くのオガサワラグワが伐採され、現存している個体が非常に少なくなっています。
    環境省の絶滅危惧種ⅠB類にも指定されており、東京都は、林野庁などの関係団体と協力しあって保全活動を進めています。
    都レンジャーは、現存の個体を定期的にモニタリングし、保全のための基礎情報の収集に協力しています。
    無人島の弟島では、オガサワラグワの天然更新が唯一確認されており、私たちは2009年から毎年新たに見つかった稚樹の情報を記録しています。
    今年度の調査では過去最高の稚樹の更新を確認し、とてもうれしいニュースとなりました。これは、昨年度の大型台風により多くの木が倒れ、森の中の光環境が大きく変わったことが関係していると推察されます。
    微力ながらこれからもモニタリングを通じて保全活動につなげたいと思います。



2021年1月1日(母島レンジャー 竹中)

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  • かかり枝の枝の落とし方法

    毎年のように台風被害を受ける小笠原では、倒木やかかり枝の処理作業が頻繁に行われています。
    そのため、支障木処理で高枝鋸やチェーンソーを山の中まで持っていく場面も発生します。
    ところが、木の高い位置で枝が引っ掛かり高枝鋸が届かない場合もあります。
    その時大活躍するのがスローライン(高強度の細紐)です。
    作業手順を説明すると、まずおもりを結んだスローラインを手で投げるか、室内配線用の長竿を使ってかかり枝に引っ掛けます。
    次にスローラインの末端に牽引用のロープを結び付け、ロープをかかり枝に掛けます。最後にロープで枝おろしをすれば作業完了です。
    慣れれば男女問わず簡単に作業ができ、高所作業車や樹上作業も必要ありません。人力で引けない場合は小型のウインチ等を使用します。
    日々の業務のなかでも大きなウエイトを占める危険木処理。
    これからも安全に作業を進めてまいります。

2020年12月28日(父島レンジャー 田谷)

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  • 南島自然観察路の修繕

    南島は「沈水カルスト地形」という世界的にも珍しい地形で、国の天然記念物にも指定されている人気の観光スポットの1つです。
    貴重な動植物や地形を守り、適正に利用していただくため、都レンジャーは自然観察路の整備や利用状況の確認を定期的に行っています。
    植生や地形の経年変化などにより歩行ルートにずれが生じていたため、観光協会ガイド部会員の方々や行政関係者と共に転石の据え直し、増設の作業をしました。
    まずは、レンジャーがあらかじめ集めておいた敷設用の大きな石をみんなでバケツリレーして設置場所まで運びます。
    その次に、埋もれてしまった転石は掘り出して、据え直し、石の間隔が広い箇所には運んだ石を追加して敷設していきます。
    みなさん声を掛け合いながら作業し、賑やかで和気あいあいとした雰囲気でした。
    安全に歩きやすいよう、石の間隔や、高さを考え試行錯誤しながらの作業でした。
    体力も頭も使うハードな作業ですが、自ら整備をすると、転石の1つ1つに愛着が沸いてきます。
    南島に入島する際は、植生攪乱を防ぐため転石上を歩いていただくよう、今後ともご協力お願いいたします。

令和2年12月17日(母島レンジャー 足立)

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  • ハナダカトンボ

    小笠原には個性的なトンボがいます。その名は「ハナダカトンボ」。
    成虫の眼と眼の間が鼻のように突き出ており、そこから"鼻高"と名付けられています。
    日本のトンボ類では、この仲間以外にない変わった特徴です。
    そんな個性を持つハナダカトンボについて、今回この場を借りて少しご紹介します。

    小笠原固有の昆虫で、ヤゴ(幼虫)は森林におおわれた渓流や小川などの流れる水のある場所を好み、成虫もそのような環境で見つかりやすいです。
    現在、生息が確認されているのは弟島、兄島、母島です。
    母島にフォーカスしてみると、個体数が少なく生息地となる小河川が非常に不安定で、
    雨が降らない時期が続き流量が少なくなると、ヤゴが死んでしまったのでは?と不安に襲われます。
    ハナダカトンボは、"絶滅の危機にある希少な水生昆虫類"です。
    そのため、法令で環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠB類、天然記念物、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に指定されていて、
    2009年には希少トンボ類として「オガサワラアオイトトンボ」、「オガサワラトンボ」と共に保護増殖事業計画が策定され、生息域内保全として、
    生息地周辺の外来植物の除去や成虫のモニタリング調査を実施しています。
    また、域外保全としては、近縁種を用いた飼育技術開発などが推し進められてきたところです。
    都レンジャーは、国立公園の巡視の際に生息域内でのラインセンサスや定点観察などを実施し、生体の分布や行動観察に努めています。
    小笠原トンボ類の明るい未来のため地道な努力を重ねていければと思います。



令和2年12月15日(母島レンジャー 宮川)

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  • オガサワラセセリ

    小笠原には固有種のチョウチョが2種類いますが、それ以外は季節的にやってきたり台風に乗ってやってきたりで一時的に繁殖するものがほとんど。
    そしてその2種「オガサワラシジミ」と「オガサワラセセリ」の両方が絶滅危惧種です。
    オガサワラシジミの危機的状況をニュースなどで知った方も多いかと思いますが、オガサワラセセリも対策が急がれています。
    オガサワラセセリの幼虫はこれまた固有種のオガサワラススキだけを食べて成長します。
    オガサワラススキが広範囲に生えている場所は限られるうえ、場所によってはススキ原が外来種のガジュマルなどに徐々に被陰されて小さくなってきていることもあります。
    都レンジャーは国立公園の巡視の際にモニタリングを行い、幼虫の数の推移などを記録しています。
    まだまだ分からないことも多いこの小さくて地味だけど貴重なチョウの保全に役立つように頑張っています!

令和2年12月10日(父島レンジャー 右田)

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  • 多摩レンジャー業務支援(高尾、御岳)

    11月の2日間、多摩地区の高尾、御岳地区に業務支援に行ってきました。
    この時期は紅葉のピークであることや歩くにはちょうど良い気候ということもあり、多くの登山者を目にしました。
    今回の支援内容は登山道の整備です。登山道が荒れる原因は主に二つ。大雨などの自然災害と人によるオーバーユースです。
    特に二つの地区は後者が目立ち、土の踏み固めや根の露出が見られました。(個人的に、登山道の土の硬さにびっくりしました!)
    そのような場所を「近自然工法」で補修していきます。「近自然工法」とは自然界の構造を施工に取り入れ、生態系を復元させることを目的とした工法です。
    小笠原では主に石を使っての段差解消をしてきましたが、今回は、施工場所周辺で間伐されたスギ材やウッドチップ等を使いました。
    小笠原と異なる場所と条件での作業は新鮮で、多摩レンジャー達の着眼点や段取り等、参考になることが多くありました。
    補修後の登山道をさっそく登山者が歩き、反応をみることができたのも良い機会でした。
    同じレンジャー業務でも地域が違えばやり方は変わります。
    お互いの交流を通してレベルを上げて、より良い仕事をしていきたいと考えています。

    ※小笠原地区でもレンジャー達は近自然工法を活用した登山道の整備をしています。
    その様子は小笠原ビジターセンターの「レンジャー工務店」というコーナーで年2回更新してあります。ぜひご覧ください。



令和2年9月17日(父島レンジャー 田谷)

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  • 新レンジャー紹介(小笠原地区父島)

    9月から小笠原・父島地区の都レンジャーとして赴任しました田谷以生(たやいお)と申します。
    2年前まで父島で環境省のアクティブレンジャーとして勤務していました。
    青い海と鮮やかな緑の美しい小笠原の自然と、個性豊かな人々が忘れられず、戻ってきました。
    小笠原の自然の美しさ、面白さだけでなく、
    直面している課題や対策についても島民や観光で訪れた皆さんに知っていただきたいと思います。
    利用者の皆さんに安全に小笠原の自然を楽しんでいただけるよう、
    歩道や公園施設の維持管理なども頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

令和2年5月25日(父島レンジャー 右田)

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  • 新レンジャー紹介(小笠原地区父島)

     令和2年4月より父島レンジャーとして小笠原に赴任しました右田裕基(みぎたゆうき)です。
    右田という苗字は内地でもあまり聞かれないかと思われますが、ルーツは宮崎県の椎葉村という人里離れた山奥の集落にあります。小笠原村でもおそらく私の1世帯だけでしょう。
    ここに来る以前は2箇所の国立公園にて来訪者に対する教育普及の仕事をしてきました。小笠原の暮らしは初めてになりますが今回のご縁にとても感謝しています。
    なぜなら、前職から今の仕事に繋がるまでのきっかけが子どもの頃に見た1冊の図鑑にあった小笠原諸島に住む生きものの特集にあったからです。
    ページの見出しの一文にはこう書いてありました。「小笠原諸島だけに住んでいる」。それを見る度に、その場所にしかいない生きものがいる不思議と、いつか自分の足で会いに行ってみたいと思ったものでした。
    それから数十年。今は自然と人をつなぐ役目として、私にできることを精一杯やっていきたいと思います。これからどうぞよろしくお願いします。

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