小笠原の自然

小笠原の自然の概況

1 位置及び面積

 小笠原諸島は、北緯20度25分から27度40分、東経136度04分から153度59分にわたり、太平洋上に散在する30余の島々からなり北から聟島列島、父島列島、母島列島、硫黄火山列島の4列島に大別される。

<参考>

面積の比較

 父島の面積は東京都千代田区(11.52km 2)の約2倍で、母島は北区(20.55 km2)とほぼ同じである。  また、父島の面積は伊豆諸島の新島(23.17 km2)よりやや大きく、大島(91.05 km2)の約4分の1で、母島は御蔵島(20.55 km2)とほぼ同じである。

2 気象

(1)概要

 父島における平均的気象観測値(1971~2000年の平均値。以下平年値)は、年平均気温23.0℃、年平均湿度77%、年間日照時間は2067.6時間である。また、年平均降水量は1276.7mmで、月別降水量を見ると5月と11月に多くなっているが、これは東京の梅雨にあたる時期が約1ヶ月早く、秋雨が約1ヶ月遅く訪れるためである。「日最高気温30℃以上」の日(真夏日)の年平均日数は48.2日、「日最低気温25℃以上」の日(熱帯夜)の年平均日数は78.7日あり、さらに4月から9月の月平均湿度が80%を超える。このように小笠原地方の気候は、特に夏季は日差しが強くて蒸し暑い日が続き、年間の季節差や日較差(1日の最高気温と最低気温の差)が小さく湿度の高い、いわゆる亜熱帯海洋性気候というのが特徴である。

3 生物景観

(1)植物

 小笠原の植物は、亜熱帯性のものが多く、オガサワラビロウ、タコノキ、木生シダ類等が繁茂し、内地の林相とは相当異なっている。

 また、ガジュマル、ヤシ等の大木、バナナ、オレンジ、パパイヤ等の果樹の自生化したものも見られるほか植物の固有率も高く、ワダンノキ、シロテツ、オオハマギキョウ等世界的に珍しい植物も少なくない。

(2)動物

 小笠原諸島は動物の固有率が高く、学術的に貴重な地域とされ、オガサワラオオコウモリ、ハハジマメグロ、アカガシラカラスバト、オガサワラトンボ等が国の天然記念物に指定されている。

 生息する動物は、在来の鳥類(スズメは生息していない)、昆虫類等の他は野生化したヤギ、ネコが見られ、その他外来動物として目につくものとしてオオヒキガエル、 アフリカマイマイ、イエシロアリ、グリーンアノール等がいる。

(3)海洋動物

 小笠原諸島の海中景観を構成するものは主として造礁サンゴ、貝類及び鑑賞用熱帯魚類であり、ほかにウニ類、ヒトデ類や海藻類がある。小笠原諸島付近の海域は、黒潮の枝流と北赤道海流の中間にあって、両海流の分支流がいくつか還流となって小笠原諸島の周辺を流れているため、海水の温度は年平均23.9℃と高くなっている。そのため各島しょのいたるところに、色とりどりのクダサンゴ、ハナヤサイサンゴ、オヤユビミドリイシ、ワシハダミドリイシ、アナサンゴ、キクメイシ、ノウサンゴやミレボラなど約200種にのぼる造礁サンゴがみられる。  また、パイプウニ、ガンガゼ、シラヒゲウニ、ジンガサウニなどのウニ類のほか、シラナミガイ、スイジガイ、クモガイ、タカラガイ類、タケノコガイ類など460余種の貝類がある。

(4)天然記念物

 小笠原諸島は、野生生物が多く学術的にも貴重な地域とされている。しかし、これらの生物のうちには極めて生息数の少ないものも多く、これらを保護するために次の生物を文化財保護法により天然記念物に指定している。

哺乳類 オガサワラオオコウモリ
鳥類 アホウドリ(特別天然記念物)、メグロ(特別天然記念物)、アカガシラカラスバト、オガサワラノスリ
昆虫類 オガサワラシジミ、シマアカネ、オガサワラトンボ、オガサワライトトンボ、ハナダカトンボ、オガサワラタマムシ、オガサワラセスジゲンゴロウ、オガサワラアメンボ、オガサワラクマバチ、オガサワラゼミ
陸産貝類 ヤマキサゴ科、クビキレガイ科、カワザンショウガイ科、オカミミガイ科、オカモノアラガイ科、ノミガイ科、キバサナギガイ科、キセルガイモドキ科、エンザガイ科、コハクガイ科、ベッコウマイマイ科、ナンバンマイマイ科
甲殻類 オカヤドカリ
地質鉱物 小笠原南島の沈水カルスト地形
地域として指定されているもの
(天然保護地域)
南硫黄島
※自然環境保全法により昭和50年5月17日、原生自然環境保全地域にも指定された。


特に絶滅のおそれのある生物は、「種の保存法」により、 国内希少野性動植物種として指定されている。

哺乳類 ・オガサワラオオコウモリ
鳥類
・オガサワラノスリ
・シマハヤブサ
・アカガシラカラスバト
・オガサワラカワラヒワ 
・アホウドリ
・ハハジマメグロ
植物
・アサヒエビネ
・ホシツルラン
・ウラジロコムラサキ
・ムニンノボタン
・コバトベラ
・シマホザキラン
・セキモンウライソウ
・オキノクリハラン
・コキンモウイノデ
・ユズリハワダン
・ナガバキブシ
・ハザクラキブシ
・タイヨウフウトウカズラ
・ムニンツツジ
・ヒメタニワタリ
・コヘナラレン
・ウチダシクロキ
・シマカコソウ
・セキモンノキ
・ムニンホオズキ
・ムニンミドリシダ
・マルバタイミンタチバナ
・オトメシダ
・シマツレサギソウ
昆虫
・オガサワラハンミョウ
・オガサワラシジミ
・オガサワラトンボ
・シラフオガサワラナガタマムシ
・オガサワラムツボシタマムシ父島亜種
・オガサワラムツボシタマムシ母島亜種
・ツヤヒメマルタマムシ
・ツマベニタマムシ父島・母島列島亜種
・オガサワラトビイロカミキリ
・オガサワラトラカミキリ
・オガサワラキイロトラカミキリ
・オガサワラアオイトトンボ
・ハナダカトンボ
・オガサワラモモブトコバネカミキリ
・オガサワラナガタマムシ
・フタモンアメイロカミキリ父島亜種
・オガサワライカリモントラカミキリ
・クスイキボシハナノミ
・キムネキボシハナノミ
・オガサワラキボシハナノミ
・オガサワラモンハナノミ
・オガサワラセセリ
陸産貝類
・アニジマカタマイマイ
・コガネカタマイマイ
・チチジマカタマイマイ
・ヒシカタマイマイ
・ヒメカタマイマイ
・フタオビカタマイマイ
・アナカタマイマイ
・オトメカタマイマイ
・カタマイマイ
・アケボノカタマイマイ
・ヌノメカタマイマイ
・キノボリカタマイマイ
・コハクアナカタマイマイ
・ミズジカタマイマイ



(5)特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
 平成17年6月1日から「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」が施行され、政令により85種の外来生物について移動、飼育等が禁止された。
 小笠原の生物については、グリーンアノール、オオヒキガエル、ニューギニアヤリガタリクウズムシ、ヤマヒタチオビ、ボタンウキクサ、ウシガエル、アカカミアリ、カダヤシが特定外来生物に指定されている。

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