御府内備考について

御府内備考巻1
御府内備考 巻1

江戸幕府の地誌編纂事業によって編纂された江戸に関する官選地誌。
文化7年(1810)に開始された江戸幕府の地誌編纂事業は、まず「新編武蔵風土記」から着手され、当初江戸御府内も含める計画であったがあまりに膨大となり、村と町では記載内容も異なることから、江戸の地誌は「御府内風土記」として別立てとすることになった。
このため、文政9年(1826)から同12年にかけて、編纂の基礎となる史料集が作成された。これが「御府内備考」である。
当初は江戸の町方を対象とする地誌だけが編集されていったが、寺院に関する関連史料には誤りが多いことが認識され、各寺社から書き上げられた記録をもとに続編が作成されることとなった。

当館所蔵本には「編修地誌備用典籍」という蔵書印が捺されており、幕府による編纂事業の拠点となった昌平坂学問所地誌調所に保管されていた原本であることが判明する。これまで翻刻刊行されたことはない。

御府内備考続編

御府内備考続編巻1
御府内備考続編 巻1

江戸幕府官撰の江戸地誌「御府内備考」の続編として寺社の沿革をまとめたもの。文政12年(1829)成立。神谷信順ら編。147冊、附録1冊、別に総目録2冊がある。
はじめに神社を収録し、続いて寺院については宗派別にまとめている。内訳は以下のとおり。
第1−24:神社部 第25−44:天台宗 第45−70:浄土宗 第71−72:古義真言宗 第73−77:新義真言宗 第78−93:臨済宗 第94−111:曹洞宗 第112−113:黄檗宗 第114:時宗 第115−132:法華宗 第133−146:一向宗 第147:修験 附録:庵室、陰陽師

個々の寺院については、事前に提出された寺院からの書き上げにより以下のような項目が列挙される。
本寺、寺院名・境内地面積、起立・開山・開基、寺領、本堂・本尊、境内附属施設、古文書、境内図
これに続いて、幕府の編纂担当者によって関連地誌類による付加情報が補足されている。

関連出版物

国立国会図書館所蔵の写本が影印本として出版されている。
『御府内寺社備考』全7冊・別冊1(1986年、名著出版)

資料リスト・資料画像

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