コラム「カメリア」~ツバキの事情~

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 大島では最も早く咲く椿は9月に咲き始め、最も遅い椿は5月の連休くらいまで咲きます。実に1年の半分はどこかで椿が咲いている状態です。
サクラ、特にお花見をするソメイヨシノは一斉に咲いて、一斉に散ります。このため満開という状態がありますが、花期の長いツバキにはサクラのような満開はありません。

 大島でツバキが咲く冬の間は花粉を運んでくれる虫がいないために、ツバキは甘い蜜を提供するかわりにヒヨドリとメジロに花粉を運んでもらっています。
もし短期間に花が咲いてしまうと虫よりは数が少ない鳥に受粉をしてもらえない可能性があるので、少しでも受粉の可能性を高めるために長く少しずつ咲きます。

 「伊豆大島の椿まつり」といわれて、満開のサクラのように咲いている状況を思いうかべるかもしれませんが、花が少ないように感じるのはこういう理由からなのです。

 このため大島公園では少しでも華やかさを出すために入り口付近、都道沿いにちょうど椿まつり期間中に比較的まとまって咲く品種を多く植えています。

 ツバキは茶道の席に飾る茶花です。サクラのように満開の花を楽しむのではなく、一輪一輪を愛でるように楽しむのがツバキの花の楽しみ方です。
 このことが分かると緑の葉に花のコントラスト楽しみながら、ツバキの花を楽しむことができるのではないでしょうか。

hiyodori
mejiro

(写真左:ヒヨドリ 右:メジロ)

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