「興洋」の主な仕事
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海洋環境観測
毎月1回、18定点(右図)の水深ごとの水温を水温水深計(CTDやXBT)で観測しています。
観測結果は、毎月発行している「おがさわら海の情報」や小笠原水産センター無線局からの放送、気象庁を通じて漁業者や関係各所に情報提供することで、漁場の状況の把握等に貢献しています。
また、父島周辺の海水を採取し、福島第一原子力発電所事故の放射線の影響の有無を調査し、公表しています。
※「おがさわら海の情報」は、こちらからご覧いただけます。
ネット調査
マルチネットおよびMOHTネットを用いて、メカジキの稚魚やアカイセエビの幼生を採集し、初期生態解明、餌料環境調査を行っています。
※幼生とは・・・
卵から孵化した動物の子が、まだ親と同じ形になっていない状態のこと。代表例は、カエルになる前のオタマジャクシ。
底魚資源調査
底釣により研究テーマに応じた魚類(ハタ類、ヒメダイ等)を採集しています。
採集した魚は、水産センターの研究員が調査を行い、その結果をもとに魚価向上に向けた取り組みや、モニタリング活動を実施しています。
※底釣とは・・・
海底付近に生息する魚を釣るための漁法です。
海底地形調査
マルチビームソナーにより、小笠原海域の精細な海底地形の調査を行っています。
調査結果をもとに新たな漁場を開発したり、漁協を通じて漁業者に提供したりすることで、小笠原諸島の漁業に貢献しています。
たて縄調査(メカジキ資源調査)
小笠原式深海たて縄漁法を用いて、漁獲されたメカジキへのポップアップタグとりつけによる行動調査や、漁場推定位置での試験操業などを行っています。
これまで、ポップアップタグから得られたデータからメカジキの回遊ルートや生息水深などの生態が解明され、メカジキの漁獲量向上に貢献してきました。
※小笠原式深海たて縄漁業とは・・・
当水産センターと小笠原の漁師の方々と共同で開発した小笠原諸島独自の漁法です。右図のように400~600mの深海まで漁具を設置し、メカジキ ソデイカ等を漁獲しています。
沖ノ鳥島調査
日本最南端の地である沖ノ鳥島周辺海域は豊かな漁場としての可能性を秘めています。
興洋では、ひき縄調査や底釣調査、礁内での潜水調査等を実施し、同海域の有効利用に向けた調査を行っています。
※沖ノ鳥島について、詳しくはこちら
漁業取締
小笠原海域における密漁を防止し、水産資源を保護するため、支庁水産担当と共に漁業取締を行っています。
水産生物の放流調査
令和2年度より水産センターが行っている「アカイセエビ資源管理技術に関する研究」の一環でリボンタグを装着したアカイセエビを聟島列島等で放流しています。
その他
〇他機関との共同研究
OWA(小笠原ホエールウォッチング協会)や国立科学博物館等の研究機関と共同研究を不定期で行っています。
令和4年現在は、海洋環境観測時にOWAの研究員が興洋に乗船し、「小笠原諸島海域に出現する鯨類の種及び分布」のための鯨類目視調査を実施しています。
過去に行われた国立科学博物館との調査では、興洋により採取されたサンプルから、新種の生物が発見されるなど、まだまだ謎が大きい海洋環境の解明にも貢献しています。