まえがき

まえがき

明治以来、我が国は「欧米に追いつき追い越せ」を国家目標に、見事に近代化を成就したが、この過程で行政はいわば牽引車の役割を担ってきた。
戦後、日本のめざましい発展の過程でも、「全体の奉仕者」として位置付けられた公務員は重要な役割を果たしてきた。公務員制度は、行政に携わる人材を確保・育成し、安んじて公務に精励させるという勤務条件を提供したという意味で、日本の繁栄と安定に寄与してきたと言えよう。
しかしながら、戦後50年以上を経て、いわゆる右肩上がりの時代が終焉し、国民共通の目標が見えにくくなり、欲求が多様化・高度化する中で、行政の果たすべき役割に様々な議論が生じている。また、1980年代後半に発生したバブル経済の教訓から、拡大型の経済社会を前提にした行財政システムや人事制度は、長い目で見るともはや維持できないことが明らかになっている。一連の不祥事が続く中で、公務員に対する国民の目も一段と厳しくなっている。
こうしたことから、公務の存在意義や基本原理は変わらなくとも、行政を取り巻く環境条件の大きな変化を踏まえ、公務員の人事制度について、将来を見据えた改革に取り組むことが強く求められている。
都政においても事情は同様である。東京が直面する様々な危機や時代が要請する新たな課題に的確に対応し、限られた人材を機動的かつ効率的に活用することによって、都民の信頼に応えていかなければならない。
東京都の人事制度全体について、現行制度を正確に検証し、中長期的な視点から抜本的に見直すことが求められている。
本書は、こうした観点から、都の人事制度全般について、現状と今後の方向をまとめたものである。本書を出発点として、人事制度全般の見直しを進めていきたい。


平成12年7月

総務局長

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