企業と人権

企業と人権

社会を構成する一員として

 企業は、自らの事業活動を通して利益を得るだけでなく、社会に対して雇用の創出や税収増といったプラスの効果をもたらすことができます。一方、ひとたび不祥事を発生させてしまうと、それまで積み上げてきた企業自身の信用を落とすだけでなく、人々の生活や安心安全、経済・社会秩序に対して悪影響を及ぼす可能性も持っています。このように企業活動は、消費者、投資家、取引先、地域社会、そして従業員といったステークホルダー(利害関係者) との関わり無しには成り立たないものです。

CSR(企業の社会的責任)

 近年、CSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)という考え方が定着しつつあります。これは、企業の活動において、社会的公正や人権・環境への配慮を組み込み、ステークホルダーに対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める――という考え方です。
 CSRは、企業の側だけではなく、ステークホルダーの側でも重視されるようになっています。無責任な行動をとる企業に対しては強い批判が寄せられ、経営の根幹に大きなダメージを被る場合もあります。

ビジネスと人権

 近年、企業活動が社会にもたらす影響が注目され、企業による人権尊重の必要性についても国際的な関心が高まっています。企業は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際的な基準等に照らしてその行動が評価されるようになっており、自社内に限らず、サプライチェーン全体を含めた人権への取組が求められています。

◆国連グローバル・コンパクト

 平成11(1999)年1月、国連のアナン事務総長(当時)は、「世界経済フォーラム」の席上、国連と企業の間に新たな関係を築く提案を行いました。その提案はその後、「人権」、「労働」など四つの分野に関わる10の原則を中核とした「国連グローバルコンパクト」として公式化されました。

国連グローバル・コンパクト画像( 一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、令和4(2022) 年12月16日現在、国内加入団体数525)

◆ISO26000

 国際標準化機構(ISO)は、平成22(2010)年11月、企業だけでなくあらゆる組織にとってのSR(Social Responsibility=社会的責任)に関する手引となる、国際規格「ISO26000」を発行しました。この中で、社会的責任には七つの中核主題が設定され、「人権」もその一つです。

◆ビジネスと人権に関する指導原則

 平成23(2011 )年、国連人権理事会で「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択されました。この指導原則は「人権を保護する国家の義務」、「人権を尊重する企業の責任」、「救済へのアクセス」の3つを柱とし、企業に人権を尊重する主体として責任を果たすことを求めています。

◆「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)

 日本では、令和2(2020)年10月に政府が「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」を策定し、ビジネスと人権に関して政府が取り組む各種施策が記載されたほか、人権デュー・ディリジェンスの導入など、企業への期待が表明されています。

 また、令和4(2022)年9月には、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が、日本政府のガイドラインとして決定されました。

SDGs

 SDGsとは、平成27(2015) 年 9 月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」に記載された 2016 年から 2030 年までの国際目標です。持続可能な世界を実現するための 17 のゴールから構成され、SDGsの達成と人権の保護・促進は表裏一体の関係にあるとされています。

SDGs

人権に関する取組

  • 企業がさまざまな人権課題を直視し、「人権に関する取組」を行うことは、企業を支える 多くの人々の人権に配慮することになるだけでなく、企業の社会的イメージの向上や事業活動への良い波及効果をもたらすことにもなります。
  • したがって、事業活動と人権を分けて考えるのではなく、事業活動のプロセスの中に、人権への配慮を組み込むことが大切です。
  • 人権問題をはじめとする社会的課題に対し、幅広い視野を持った人材を育成し、人権尊重の精神が職場内、さらにはサプライチェーン全体まで浸透している企業が、これからの社会の一員として求められています。

人権課題別取組の具体例

  • 女性の人権 賃金などの待遇の格差是正、セクシュアル・ハラスメントの防止
  • 高齢者の人権 高齢者の就労の場の確保、高齢者への虐待防止
  • 障害者の人権 法定雇用率の達成、合理的配慮の提供、バリアフリー化への取組
  • 同和問題(部落差別) 公正な採用選考の実施、えせ同和行為の排除
  • 外国人の人権 外国人労働者の雇用・労働条件の保障
  • 性自認・性的指向 SOGIハラ防止、性的マイノリティに関する理解促進への取組
  • さまざまな人権問題 個人情報の保護、パワーハラスメントの防止 など

人権意識を高めるために(職場における人権に関する取組の具体例)

  • 社内における研修会又は講演会の開催
  • 外部機関が開催する研修会又は講演会への参加
  • 相談窓口の設置
  • 社内イントラネット・社内報・社内掲示板への情報提供
  • 社是、人権方針などの規定整備 など


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企業内研修のために

〇人権研修講師出講事業について


〇研修資料について


〇人権に関する図書、ビデオなどの閲覧・貸出

関連リンク

〇「ビジネスと人権」に関する関連リンク(ウェブサイト)

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企画課調査企画担当
アイコン電話番号画像03-5388-2584
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