インターネットと人権
インターネットと人権
インターネット利用の光と影
インターネットは情報の収集や発信、コミュニケーションの手段として、私たちの生活を飛躍的に便利なものにしています。近年では携帯電話、特にスマートフォンの急速な普及に伴い、子供たちにとっても身近なものになっています。
その一方で、SNS での特定の個人を対象とした誹謗・中傷、同和問題(部落差別)や外国人、障害者等に関する差別的な表現の書き込み、個人情報の掲載などによるプライバシーの侵害、保護者や教員の知らない非公式サイト(学校裏サイト)でのいじめなど、インターネット上での人権を軽視した行為が大きな問題となっています。また、インターネットを通じた誘い出しにより未成年者が性的被害や暴力行為に遭うなどの犯罪に巻き込まれるという事例も多く発生しています。
インターネット上では、名前や顔を知られずに情報を発信することが可能なため、現実の世界よりも人権を軽視した行為をしやすいと言えます。その上、情報は一瞬にして大勢の人に伝わってしまい、一度公開された情報を完全に消すことは容易ではありません。
例えば、SNS に人権を無視した情報を書き込まれた人は、周囲の人から誤解されたり、見ず知らずの人から嫌がらせをされるなど、日常生活に大きな支障をきたしかねません。さらには精神的に深く傷つき、追い詰められ、職場や学校へ行けなくなることや体の不調を訴え、自殺へとつながることもあります。
書き込みをした側は、掲示されている内容が悪質なときなどは、民事上の責任(損害賠償責任)、刑事上の責任(名誉毀損罪や侮辱罪等)を問われることがあります。
インターネットによる被害
ここ数年、インターネットを利用した人権侵犯事件が後を絶ちません。また、18 歳未満の児童がインターネットによる危険にさらされています。
最近は、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)、ブログ、プロフィールサイトなど出会い系サイト以外のコミュニティサイトなどを介して、18 歳未満の児童が児童買春や児童ポルノなどの犯罪被害に遭う事件が多くなっています。
令和5(2023)年中のインターネットを利用した人権侵犯事件(全国計)は、1824件(前年度比 6.0% 増加)となりました。
法務省の人権擁護機関がプロバイダ(接続業者)等に対し人権侵害情報の削除を求めるなどの要請を行った件数は 449件となっています。この中には、インターネット上に、被害者の氏名や顔写真とともに、詐欺を働いており前科があるなどの投稿がされ、この投稿が名誉毀損に当たると認められた結果、法務局からサイト管理者に対し削除を要請し、当該投稿が削除された事案などがありました。
人権を侵害しないために
SNSや掲示板などの利用に当たっては、常に書き込みの相手や読み手に配慮することが大切です。
ルールやマナーを守って、加害者にも被害者にもならないようにしましょう。
◇差別的な発言や誹謗・中傷を書き込まない◇
差別的な発言、承諾がない本人情報の暴露(いわゆるアウティング)、誹謗・中傷の書き込みは、許されることではありません。インターネット上の掲示板における匿名性を悪用してこのような書き込みを行うことはやめましょう。
インターネット上の書き込みは、情報流通プラットフォーム対処法に基づき、プロバイダ等に対する開示請求により、書き込んだ人を特定することができます。
◇なりすまし行為はしない◇
特定の人物になりすましてインターネット上で身勝手な発言や活動をすることは、その人物の信用と名誉を著しく傷つけ、場合によっては名誉毀損で訴えられることがあります。また、IDやパスワードを盗み、他人になりすまして不正アクセスを行うことは、不正アクセス禁止法違反になります。
◇個人情報は書き込まない◇
他人の個人情報(住所、電話番号等)を無断で掲載することは、プライバシーの侵害に当たる場合があります。また、そうした情報を書き込んだことにより、情報が悪用され、書き込まれた人に予想もしない影響が生じることがあります。
加えて、自分自身の個人情報の書き込みについても注意が必要です。
インターネット上の人権侵害への対応
プロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)が改正され、令和7(2025)年4月より、情報流通プラットフォーム対処法(特定電気通信による情報の流通によって発⽣する権利侵害等への対処に関する法律)が施行されています。
この法律は、悪質な書き込みによる被害を受けた方がプロバイダ等に対して、書き込みをした者(発信者)の情報開示を請求することができるほか、改正法の施行により、新たに、一定の要件を満たすプロバイダ等に対して、削除対応の迅速化及び運用状況の透明化に係る措置が義務付けられました。
もしも被害にあったら...
インターネット上で、プライバシーの侵害や差別的書き込みなどの被害を受けた場合、被害に遭われた方は、プロバイダ等に対して、発信者情報の開示を請求したり、人権侵害情報の削除を依頼することができます。
また、東京都人権プラザや東京法務局などでは、こうした被害に関しての相談を受け付けています。詳細は、以下相談窓口をご覧ください。
相談窓口
★東京都人権プラザ
「インターネットにおける人権侵害」に関するSNS(LINE)相談
相談方法:LINEによるチャットのみ(通話は行えません)
相談日・時間:月~金 16時~22時(祝日・年末年始を除く)※受付は21時30分まで
対応時間:60分以内(1日1回程度)
アカウント名:インターネットにおける人権侵害相談@東京
「インターネットにおける人権侵害」に関する法律相談
○面接・オンライン相談(要予約)
相談日・時間:木曜日 13時~16時(毎月第4木曜日・祝日・年末年始を除く)※40分以内
面接相談場所:東京都人権プラザ相談室(東京都港区芝2-5-6 芝256スクエアビル2階)
予約電話番号:03-6722-0124
※予約電話受付日時:月~金 9時30分~17時30分(祝日・年末年始を除く)
○電話相談(予約不要)
相談日・時間:毎月第4木曜日 13時~16時(祝日・年末年始を除く)※15分以内
相談専用電話:03-6722-0126
★東京法務局人権擁護部
相談電話:0570(003)110(みんなの人権110 番)
03(5363)3067(IP 電話の方)
受付時間:月~金 8時30分~17時15分(祝日・年末年始を除く)
メール相談:https://www.jinken.go.jp/
★警視庁サイバー犯罪相談窓口
相談電話:03(5805)1731
受付時間:月~金 8時30分~17時15分(祝日・年末年始を除く)
★ネット・スマホのなやみを解決「こたエール」
相談電話:0120-1-78302
LINE相談:アカウント名「相談ほっとLINE@東京」
電話・LINE相談の受付時間:月~土 15時~21時(祝日・年末年始を除く)
メール相談:24時間受付 https://www.tokyohelpdesk.metro.tokyo.lg.jp/
★違法・有害情報相談センター(総務省支援事業)
インターネット相談(24時間受付)
https://ihaho.jp/
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