1 策定に当たっての基本的考え方

1 策定に当たっての基本的考え方

1 監理団体を取り巻く諸情勢

  今、都財政は、バブル経済の崩壊と長期化する景気の低迷により、財政再建団体への転落も憂慮される状況にある。
 また、これまでの社会経済システムが制度疲労を来す中で、都政の様々な分野において危機的 状況が顕在化している。
 こうした危機を打開し、東京を再生していくためには、 「成果の重視」、「スピードの重視」、「コスト意識の徹底」を基本的視点に、都庁の抜本的な体質改善に取り組む必要がある。
  都民に信頼される都政を実現するためには、限られた財源を効率的に活用し、都民にとって最大の成果をあげることが求められている。
 多様化・複雑化する都民ニーズに的確に対応するためには、都民サービスの提供主体・方法の選択に当たって、その性質・内容に応じて民間資金やノウハウなど優れた外部の経営資源を最大限かつ柔軟に取り入れ
 ることが重要である。
  このような意味から、監理団体の改革は、都政改革の大きな柱の一つとなっている。
  現在、都では、都が指導・監督するべき団体として、64団体を指定しているが、設立当初の事業実績があがらない団体や、累積損失を抱え、経営の見直しが不可欠な団体も存在している。
  こうした中で、都では、昨年7月、「監理団体総点検」を実施することとし、団体の抜本的な見直しに着手した。
 団体改革は、団体のさらなる活用と都民サービスの向上を図るため、団体経営のあり方をゼロ・ベースで見直すものである。

2 監理団体総点検の基本的考え方

 
 次のような基本的考え方に立って、団体総点検に当たることとした。

 ◎団体の設立趣旨等の見直し(団体の統廃合)
  都では、民間の資金・人材・経営ノウハウなどを活用することで、都が直接事業を実施するよりも、より効率的、弾力的な事業執行やサービス提供が可能と見込まれる場合に団体を設立し、活用してきた。しかし、社会経済状況の変化によって、設立趣旨・目的が達成されたもの、必要性の薄れたものも存在する。
  公益法人は、基本的に行政の代替・補完機能を担っているため、純粋の民間企業と異なっており、団体の設立者である都自らが、団体のあり方について不断の見直しに取り組む必要がある。
  一方、株式会社は、市場原理、競争原理による経営を基本として、団体事業のあり方の見直しが図られるべきである。
 その際、行政のスリム化、簡素効率化を図る観点から、「民間でできるものは民間で」を原則とし、設立趣旨を見直した上で、効率的経営のもとに、都民サービスの向上が期待できるものについては、引き続き活用する。そして、社会経済状況の変化によって必要性の薄れたものは、団体事業又は団体そのものの廃止を検討する。
 
 <法人類型別の考え方>
  ○公益法人
   ・類似の業種・業態にあるもので、経営の効率化と都民サービスの向上を図れるものは、団体を統合する。
  ○株式会社
   ・事業統合により、効率的経営が図れるものは統合し、市場競争力を高める。
   ・将来の負担と公共サービスの必要性を十分精査し、民間への売却の可能性を検討する。
   ・経営が悪化し、再建の目途が立たない場合は、問題を先送りせず、清算も含め、速やかに対応する。

 ◎自律的経営の促進
  団体は、都とは独立した経営体として、団体経営についての主体的・自主的努力が求められるのは当然である。しかし、団体の組織や人事・給与など、都と横並びの制度運営となっている団体、都からの補助金や委託料に依存し、独自の財源確保や事業展開に乏しい団体が多い。
  団体の自律的経営を促進していくためには、経営改善計画の策定等の団体の自助努力と組織目的を達成するためのインセンティブを高めることを経営の基本に据えるとともに、団体の経営責任を明確にすることが不可欠である。
  また、組織や人事・給与などは、都と横並びの制度運営を廃し、団体の経営状況や事業内容、職員の能力・業績に応じたものとする必要がある。

 <法人類型別の考え方>
  ○公益法人
   ・費用対効果の視点を重視した経営を徹底する。
   ・都からの人的支援、財政支出等が、より一層効率的・効果的な団体経営につながるよう、指導監督方法を見直す。
  ○株式会社
   ・市場原理、競争原理による経営を基本とする。
   ・経営再建が必要な場合、団体自らが経営努力を行った上で、都の支援は、出資比率、事業の公益性の度合いを精査し、必要最低限のものとする。
 
 ◎経営の透明性の向上
  団体の事業内容や経営努力への取組を都民の目に明らかにすることは、団体の経営改善はもとより、都民サービスを向上させる上でも重要なことである。経営内容が明らかにされることで、経営やサービスの質的向上が期待できる。
  そのため、経営評価制度や外部監査制度を活用し、団体の経営内容を明らかにする必要がある。
  また、昨年9月、都では「東京都監理団体情報公開モデル要綱」を各団体に提示した。この要綱をもとに各団体で早急に要綱を策定し、平成12年4月1日から情報公開制度を実施することとしている。その上で、適正な運用がなされるよう指導監督していく。
  このような基本的考え方のもと、団体をめぐる諸課題に適切に対処するため、次の基本指針を据えて取組むこととする。

 <お問い合わせ先>

 総務局 総務部 グループ経営戦略課
 直通 03-5388-2322

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