参考資料 東京市公園地使用条例・浅草公園地第六区内建物高さ制限

大正6年3月刊行の『東京市例規類集』(東京市役所内記課)に収録されている公園地に関する諸規定のうち、公園地使用条例、浅草公園地第六区内建物高さ制限に関する訓令の2つを紹介します。原文はカタカナ交じり文ですが、読みやすくするために平仮名交じり文に改め、適宜句読点を付けました。内容は大正6年3月時点のものです。

なお、東京の公園に関する諸規定について系統的に調べたいという場合は、当館窓口にある「公報(警視庁、東京府、東京市)データベース(明治22年から昭和18年まで)」、「法令類纂データベース(明治元年から明治22年まで)」を検索されるか、上記『例規類集』などを利用されると便利です。詳しくは窓口職員におたずねください。

東京市公園地使用条例 明治42年8月12日、東京市条例第2号

第一条 本市の管理又は所有に属する公園地の使用は本条例の定むるところに依る。
第二条 公園地を区画し使用せしむるときは公入札に付す。但、左の各号の一に該当する場合は此限に在らず。
一 一宅地を為すに足らざる土地を接続地使用人若くは接続地主に使用せしむるとき
二 使用地内に在る造設物の全部又は一部を取得せる者に使用せしむるとき
三 第八条第二項に依り使用せしむるとき
四 国家に功労ある者又は頌揚すべき事蹟を不朽に伝へんとするの目的を以て記念碑の類を建設する為使用せしむるとき
五 一時使用せしむるとき
第三条 公園地を使用せんとする者は保証人を定め本市へ願出べし
保証人は本市内に住所を有し土地又は家屋を所有する者に限る。但、市外所在の公園地使用の場合に在りては其所在町村居住者を以て之に充つることを得。
第四条 使用地は転貸することを得ず。
第五条 造設物の増築、改築、模様替、地盤の変更其他新規の造営を為さんとするときは本市の許可を受くべし。
造設物の全部又は一部を取除きたるときは之を届出べし。
前二項の規定は一定の地域を限り之を適用せざることあるべし。
第六条 造設物は左の制限に遵ふべし。
一 家屋土台は道路の境界線より一尺以上の距離を存すべし。但、路次に面する部分及特別の事情ある場合は此限に在らず。
二 庇及霧除は使用地外に出すべからず。
三 前二号の外特に指定したる事項
第七条 造設物は許可の日より三十日以内に起工し一箇年以内に完成すべし。但、造設物の種類に依り特に完成期間の延長を許可することあるべし。
第八条 造設物の売買譲与其他の事由に因り使用地の一部又は全部を返地せんとするときは本市に願出べし。
前項返地に際し其地を引続き使用せんとする者は前使用人と連署の上第三条の規定に依り願出べし。
第九条 使用人は本市規定の使用料を納付すべし。但、公入札に付したるものは落札金額第二条第二号及第三号に当るものは前使用人の納付したる使用料額を納付すべし。
規定の改正に依り其使用料額前項但書の納額を超過したるときは規定使用料の額に依り使用料を徴収す。
第二条第四号の場合に於ては使用料を徴収せず。
営利の目的に供せざる一時使用者に対しては使用料を徴収せざることあるべし。
造設物の焼失したるときは三箇月分以内の使用料を免除することあるべし。
第十条 使用料は毎月二十日より二十八日迄の間に其月分を納付すべし。同年度に属する使用料は之を前納することを得。
第十一条 一箇月に満たざるものの使用料は左の区別に依り計算す。
一 十五日以前に使用を許可したるもの及十六日以後に返地したるものは一箇月分
二 十六日以後に使用を許可したるもの及十五日以前に返地したるものは半月分
前項返地の日は第二条第二号及第三号に依り後の使用人に使用を許可したる日又は受領済の日とす。
第十二条 第二条第二号及第三号の場合に於て前使用人に使用料の滞納あるときは、後の使用人より之を徴収す。
第十三条 使用料を増額する場合に於ては三箇月以前に之を予告す。
第十四条 造設物不体裁にして公園の美観を損すと認むるときは改修又は取払を命することあるべし。
第十五条 公園改良其他必要あるときは六箇月以前に予告し返地せしむ。
前項の場合に於ては本市の定むる手当金を交付することあるべし。
使用人使用地内に在る造設物の所有権を喪失したるときは其使用地の一部若くは全部を返地せしむることあるべし。
第十六条 返地の場合は使用人に於て其所有の造設物を取払ひ地所を原形に復し本市に届出べし。
第十七条 本市に於て必用と認むるときは使用地又は造設物の検査を為すことあるべし。
第十八条 使用人左の各号の一に該当するときは十二箇月分以内使用料六倍迄を増徴し又は返地せしむることあるべし。
一 第四条乃至第八条の規定及第十四条の命令に違背したるとき
二 猥に使用地以外の土地を使用し又は占用したるとき
三 猥に本市の樹木を伐採し又は植換を為したるとき
四 第二十一条に依り別に定むるところの規定に違背したるとき
前項使用料増徴の処分を受けたる者違背の事項を釐正せざるときは其期間を延長し、又は返地せしむることあるべし。
使用料を滞納したるときは直に返地を命ずることあるべし。
第十九条 第六条第一号及第二号の制限に適せざるものは改築の際之に依らしむ。
第二十条 本条例施行以前に於て公入札に付したるものの使用料は旧規定に依る。
第二十一条 本条例に規定するものの外建物構造営業制限使用料公入札の条件並方法其他本条例施行に関する細則は〔市参事会〕之を定む。
第二十二条 左の規定は之を廃止す。
一 明治二十二年八月市条例第三号公園使用料細則
二 明治二十二年八月市規則第二号公園地使用規則
三 明治二十五年七月市告示第四十四号公園使用料入札規程
四 明治三十八年八月市告示第八十五号日比谷公園地使用料入札規則

浅草公園地第六区内建物高さ制限
明治42年10月16日、東京市訓令甲第32号(浅草区役所)

其区浅草公園地第六区内家屋建設出願の場合には自今左記の制限に拠らしむべし。

一 家屋の軒桁上端は地盤より四十五尺以内
一 同  棟上端は地盤より五十五尺以内
一 同  屋上建設物(塔其他装飾物)上端は地盤より六十五尺以内
以上

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